塗装について
ギター塗装に使われる塗料の概要

様々な世界で盛んにエコ化が叫ばれる中、ギター塗装もその例外ではない。ホワイトスクーナーにおいては、ほぼエコ化が終了した。ギター塗装に使われる塗料は、木工用塗料の一部であり、専用の塗料ではない。大まかな種類は、ニトロセルロースラッカー、ポリウレタン、ポリエステル、アクリルラッカー、オイル等である。私の塗装法を『かなり独特だ』と表現する人もいるが、塗装法は師匠の教え方、塗料メーカーの仕様書、個人の努力や工夫、等々様々で人によってある程度は違って当たり前なのだ。又、人と同じことをしていては、その人を抜くことは不可能であり個性も出せない。

私の塗装は、『薄く綺麗に』を心がけている。したがって、ニトロセルロースラッカー、ポリウレタン、以外の塗料は使いません。また、玄玄化学のエコ塗料を使っています。
大雑把な塗料の性質を表にして見ました(あくまでも私の独断と偏見です、塗料メーカーによっても違います)

耐薬品性
耐熱性
透明度
耐久性
硬度
ニトロセルロースラッカー
中
中
良
中〜良
HB
ポリウレタン
優
優
優
優
2H
ポリエステル
優
優
良
優
4H
ニトロセルロースラッカー

ラッカーフィニッシュ昔からある塗料ではあるが、最新のエコ塗料です。サンディングシーラーはLS−16−P,クリヤーラッカーはLC−70−Pを使っています。使ってみた感想は、とにかく肉が乗らないとゆうこと。従来のラッカーに比べ、7割程度しか乗ってくれない感じ。これは、オーバーサンドしやすくなるとゆうことで、機械(ベルトサンダー)を多用する私にとって、品質を維持するには大変なことでした。しかしそれは、吹きつけから研ぎまでのレベルアップを図ることでもありました。
さて本題のニトロセルロースラッカーですが、アクリルラッカーは私は使いませんので、ニトロセルロースラッカーをラッカーと呼びます。
上の表で見る限り良いところの無い塗料に見えるラッカー、しかし他の塗料では味わえない魅力に溢れている。質感、手触り感、風合など独特で、手軽に扱える塗料でもある。このラッカー吹きつけは難しくは無いのだが、とにかく研げない。きれいに仕上げようとするには、大変な労力を必要とする。値段が高いのもそのためだ。
このラッカー塗装が音に与える影響は微々たる物かもしれない。おそらく塗料による音の違いが分かる人はほとんどいないのではないだろうか。私も自信は無い。しかし、リフィニシュの後《オーバーフィニシュではないので注意》音が良くなったとゆう話はよく聞く。

クラッキングギターは木でできており、個体差があるから分かりづらいのだ。又弾き手とともに育ち、音も変化する。エレキの場合はアンプやエフェクター、ケーブルなどの問題もあり、なおさら分からなくなってしまう。しかし木を締め付けすぎないとゆう点ではこの塗料に勝るものは無いであろう。(オイル フィニシュもあるのだが木を保護する力がほとんど無いのでここでは省きます。)このラッカーはクラッキングとゆう現象を起こす。塗装不良と勘違いする人もいるようだ。1mmほど吹きつけたラッカーのクラッキングは確かに不良に見える。0,3mm以内に仕上げた場合はきれいなクラックが入る。

耐薬品性も悪いので、スタンドのゴムと化学変化を起こし、溶けてしまうこともあるので取り扱いには注意が必要だ。スタンドに立てかけるときは、布を一枚はさむ事が必要だ。

ラッカーの厚みラッカーの厚みラッカーの厚み
ポリウレタン

ポリエステルと区別するために、ここからはポリウレタンを《ウレタン》、ポリエステルを《ポリ》と呼びます。
ウレタンももちろんエコ塗料でサンディングシーラーはUS−40−P,クリヤーはUC−53−Pを使います。その他の塗料もエコ塗料です(一部カラーを除く)。サンディングシーラーは、今までとあまり変わってはいないようであるが、クリヤーは秀逸だ。

黒のTEスタイルのボディーに白のボディーがくっきりと映っているまず驚いたのはレベリングの良さ。
黒のTEスタイルのボディーに白のボディーがくっきりと映っている。通常であれば、みかん肌と呼ばれる状態でやや凸凹するのだが、極めて滑らかなためにこのように映っている。

ポリウレタン



もうひとつの驚きは、透明度のよさ。
やや作りすぎてしまったクリヤーが固まった状態で、10mm以上あるだろうか、手袋がくっきり透けて見える。従来では考えられない透明度だ。
又非常に使い勝手が良い。私は大変気に入っている。ウレタンはそもそも吹き付けには熟練が必要なので、シロオトが手を出すには不向き。
このウレタンで0,3mm程度の塗膜に仕上げる。塗膜を厚くしすぎると音に悪影響が出ると思うので、やはり此の位に仕上げるのがよいと思われる。ただラッカー同様メヤセします。耐久性にも優れ、最高級品向け塗料

ポリエステル

ポリであるが、私は使っていないので詳しくは分かりません。修行時代には使っていました。何より嫌なのは臭いの強烈さだ。気持ちが悪くなりそうなくらいすごくにおう。
しかしながら現在最も使われている塗料であることは間違い無い。塗料メーカーによっても違うが、硬度は比較的硬い。塗膜は厚いものが多い。(ワックスポリは薄く吹くと硬化不良を起こす恐れがある)安価なものから高級品まで幅広く使われている塗料である。材料の良し悪しを選ばない。ラッカーやウレタンの場合生地や生地磨きに注意を払うが、ポリの場合はかなりラフでも大丈夫。(シースルー系の場合、生地研磨は丁寧に)
中塗りにはポリサン、上塗りにはワックスポリ(またはノンワックスポリのクリヤー)が使われる。ワックスポリは耐薬品性、耐熱性など優れた点も多く、ガラスのような光沢が得られるが、若干濁る。その塗膜の厚みは1mm程度あるものが多く素材の良し悪しを選ばない。
量産向きの塗料で、アコースティックギターには不向きな塗料。個人的には、座卓の天板でも吹いていればいいような塗料としか感じない。ただ傷もつきにくく、大量生産向きの塗料なので、手に入れやすい最初のギターとしては必要かな?
大量生産向きで作業日数が少なくて済む塗料ではあるが、取り扱いには注意が必要。

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